具体的に次の手を考えるべき【京都「アルミ缶回収禁止条例」可決】
昨日10月28日(金)に京都市市議会にて
「空き缶回収禁止条例」が賛成多数により可決されました。
以前書いた日記
完全な失敗です【反貧困運動の難しさ:京都:空き缶回収禁止条例反対集会】
http://d.hatena.ne.jp/prolegomena/20101023/1287768243
予想されていたこととはいえ、
実質的に空き缶回収によって生活をして来た人々にとっては厳しい施策だと思います。
10月20日(水)に京都市役所前に集合という反対運動が展開されましたが、
350人が集まっただけ、「客寄せパンダ」の湯浅誠は来ただけで役立たなかった結果です。
それ以降、少数の運動家が、市役所近くでハンストや座り込みの活動をしていましたが、
規定路線であった市議会の動きを止めることは出来ませんでした。
結果論から言えば、完全な敗北です。
反対運動の主催者側は、昨夜、集会を開いていたそうですので、
今後具体的に何が出来るか等々の身のある議論をして、
実践活動に役立てて欲しいと私は思っています。
いや「思っています」ではなく、現実に困る人が現れる以上は、
何が何でも「具体的に次の手を考えて実行すべき」です。
どうか運動主催者側の皆さんには、今後はそれを示した行動を行って欲しいものです。
しかし主催者側のブログも…(;´Д`)
http://twilog.org/akikandemo/date-101028
あんまり実りある議論はなかったようです…。
運動の方法論について、私はムチャクチャ不満を持っていますが、
がんばっていた人々までも非難することは無礼なことなのであまりしたくありません。
ただ、厳然たる「敗北という事実」を見ること、
「では、次にはどのような対抗策が実行できるか」を考えて実行して欲しいということは
やはりしつこく書いておくことにします。
今回、京都市側は、
>与党会派はホームレスの今後の生活支援や就労支援の充実を市に求める決議を提案する方針。
と言っているようですが、これまでの野宿者の自立支援の実際を見る限り
あまり期待は出来ないでしょう。
というか、期待でははなく、何が何でも実質的に意味のあるものにさせるよう監視することが、
今回の条例に反対の立場を表明し、何らかの形で運動に参加した人々の役割でしょう。
市への要求をシツコクするというのも一つの手段です。
また、今回の条例は
>市が有料の指定袋で収集する空き缶やペットボトルなどを無断で回収することを禁じ、
>違反者には中止や返還を命じることができる。罰則規定はない。
という内容です。
これを逆に利用して、市当局から許可を得る方策を考えて実行するのも一つの手段、
罰則規定がないのだから、そこを突破口にするのも一つの手段だとも考えられます。
使えるあらゆる手段を利用する「したたかさ」も必要です。
さて、京都の野宿者支援のあり方についてですが、
今回は野宿当事者の参画や周辺住民の理解など、ある程度の成果はあったようです。
※しかしながら主催者側の発表がメインなので留保付
ただ本質的な問題点をあえて述べると、
京都の野宿者支援運動は、どちらかというと、
行政や弁護士主体の「自立支援施策」に依存する傾向でこれまで展開されて来たので
当事者性や都市雑業の野宿労働という視点の位置づけがやや不在という弱点がありました。
東京で16日(土)で行われた「反貧困運動」集会の縮図がここにもあったとも言えるでしょう。
http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/event/101016yonaoshi2010.html
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=818
※その証拠と言っていいのか、これらのサイトには現時点(10/29 02:30現在)、
京都での活動についての言及は全くありません。
まあ昨日のことですからしゃーないですかね。
京都での野宿者支援では、実際には殆どの場合、先述したように、
行政や弁護士主体の「自立支援施策」に依存する傾向で多くは展開されて来たので
野宿者や京都駅手配・ケタオチ飯場(ケタオチ:賃金が極端に安い現場)で
働かざるを得ない労働者との接点や協同は以前からあまり取り組みが少なかったようです。
このような状況下で慌てて集会を開いても
「条例可決阻止なんか、出来る訳あらへんやろ!」というのも私の正直な感想です。
以下に全文転載した新聞記事によれば、
>門川市長に改正案を撤回するよう要望書を出していた「反貧困ネットワーク京都」事務局長の舟木浩弁護士は「市には、責任を持って就労の場を整えてもらいたい」と憤った。
と語っているようですが、
まず「もらいたい」やないやろ!
10月16日(土)の東京での集会でも大々的アピールするとか、
徹底的に湯浅誠を「客寄せパンダ」として利用するとか、あと一工夫ぐらいはしとけよ!
と言いたいです。
とにかく反貧困運動の難しさを露呈した今回の事例でしたが、
失敗から学ぶことが出来るのも人間です。
まだまだやれることはあります。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20101028-OYT8T00082.htm
「アルミ缶条例」可決
(2010年10月28日 読売新聞)
家庭から出されたアルミ缶など資源ごみの持ち去りを禁止する京都市の改正条例案が27日、市議会くらし環境委員会で可決された。28日の本会議で採決される見通し。廃品回収で生計を立てているホームレスらの支援団体などが「生存権を脅かす」などと反対していたが、来年4月に施行される流れになった。
改正案では、市が有料の指定袋で収集する空き缶やペットボトルなどを無断で回収することを禁じ、違反者には中止や返還を命じることができる。罰則規定はない。市は資源ごみをリサイクル業者に売却しており、持ち去られているアルミ缶は年間約1700万円相当とみている。
同委員会の審議で、共産は反対、自民、民主・都みらい、公明は賛成し、ホームレスらの就労支援策の拡充を求めるなどの付帯決議をそれぞれ提案した。
門川市長に改正案を撤回するよう要望書を出していた「反貧困ネットワーク京都」事務局長の舟木浩弁護士は「市には、責任を持って就労の場を整えてもらいたい」と憤った。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20101028000026
「空き缶条例」成立へ 京都市会委で可決
(京都新聞 2010年10月28日 12時03分)
京都市議会のくらし環境委員会が27日開かれ、空き缶など資源ごみの持ち去りを禁止する条例改正案が自民党、民主・都みらい、公明党の与党3会派の賛成多数で可決された。共産党は反対した。28日の最終本会議で成立する見通しで、来年4月に施行される。
改正案は市の有料指定袋で出された空き缶や大型ごみの持ち去りを禁止する内容。罰則はないが、違反行為を見つけた場合、市が返還を求めることができるようになる。
無断で収集する業者に対して市民から市に苦情が寄せられていたことから、市廃棄物減量適正処理条例改正案を提案。しかし、京都弁護士会や市民団体から「ホームレスの生活の糧を奪う」と反対の声が上がり、市会与党からも慎重な意見が出たため、9月下旬に予定していた委員会採決を延期していた。
この日の委員会で、共産が持ち去りの禁止条項を削除する修正案を提案したが、反対多数で否決。その後、原案が与党会派の賛成で可決された。
与党会派はホームレスの今後の生活支援や就労支援の充実を市に求める決議を提案する方針。