完全な失敗です【反貧困運動の難しさ:京都:空き缶回収禁止条例反対集会】

「空き缶回収禁止条例反対デモ実行委員会」
http://twitter.com/#!/akikandemo
http://twilog.org/akikandemo


「ユニオンぼちぼちのブログ」
http://unionbotiboti.blog26.fc2.com/blog-entry-143.html
>「人間の鎖」成功!要請書を採択
京都市役所を囲む「人間の鎖」が、350名以上の参加をもって成功いたしました。



「何もしない」よりは、確かに「何かをする」方がはるかに良いでしょう。


しかし実質的に何も効果をあげていない集会を「成功」と自賛するのは
いかがなものでしょうか?
ただの大本営発表です。
主催者側のコア・メンバーは「議員周り」等々の活動もしているようですが、
要請書を採択って、ただ自分たちで採択しただけであって、
京都市側の動きは何ら変わっていません。


集会に参加(したらしい)方の以下の書き込みを見て、

京都市役所前で空き缶条例に反対する「人間の鎖」、350人で大包囲したウナ!いまは湯浅さんを囲んで打ち上げ中ウナ!

…私は全く唖然としてしまいました。
現実を知悉していない善意なるものは、
個人的には、下手をしたら偽善よりはるかに有害だとさえ私は考えています。


まず現実を冷静に見ることが大前提でしょう。
京都市の実際の動きを見ると、
あの現実的には機能していない野宿者「自立支援センター」に酷似した
施策創設の方向に動いているやないですか。
 ※もちろん、実質的に機能するものならば、歓迎ではあります。
     ↓
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20101021000035
京都市がホームレスの就職支援、制度創設へ
京都新聞 2010年10月21日 09時23分)
 京都市議会は20日、普通決算特別委員会の市長総括質疑を行った。資源ごみ持ち去りを禁止する条例改正案の提案に「ホームレスの生活の糧を奪う」と反対の声が出ていることを踏まえ、市は就労経験が少なくても働ける仕事をホームレスに紹介する支援制度を来年度に創設する方針を明らかにした。
 市は空き缶などの資源ごみの持ち去りを禁じる市廃棄物減量適正処理条例改正案を市会に提案している。しかし、アルミ缶など資源ごみが、ホームレスの収入源になっていることから、市民団体が反発。市議会でも共産党が反対し、与党会派でも慎重な意見が出て、採決が28日の最終本会議まで延期された。
 この日の総括質疑で市は10月にホームレス182人に聞き取り調査を行ったことを報告し、回答のあった124人のうち、就職希望者は40%と最多で、生活保護など福祉制度を利用したい人が19%、路上生活を続けたい人は13%だった。
 この結果も受け、門川大作市長は「野宿生活を継続したい人は少ない。居宅生活ができるよう支援する」と答弁し、ホームレスの就職支援に重点を置く方針を示した。
 具体的には「働く自信がない」というホームレスが多いため、ハローワークで求人が少ないビル管理清掃や荷下ろしなど簡易な仕事を企業に協力を求めて創出し、紹介する制度を設ける。
 新たな支援制度の創設には、市議会で改正案に理解を求める狙いもあるとみられる。


  ※※※※


そもそも今回の集会の参加者350名の中に、
実際に空き缶回収で何とか生活している人々(当事者)の姿はあったのでしょうか?
今のところではありますが、私が色々と調べた限り、
そんな活動どころか噂程度の話すら全く聞こえて来ません。
集会が突然の行動だったという部分を差し引いて考慮しても、
ネット以外の手段を使って、
当事者の皆さんに直接に声をかけて宣伝したり、参加を募ったり、
という話も聞いたことがありません。
 ※毎日新聞の報道では市当局でさえ、実際の野宿者にアンケート調査をしているというのに。


こんな状態にも関わらず、
主催者側は、湯浅センセーを招いて、大新聞に記事にして貰って、打ち上げをして、
「ネットのみ」で「成功」と謳っている。
こういうのを厚顔無恥の典型と言うのではありませんか?


もちろん私は「反貧困」という運動自体は支持しています。
しかし運動の手段・方法と実際の活動に疑問が多過ぎるのです。
本質的問題に全く切り込んで行ってないのです。



先日の東京の「反貧困世直し大集会2010」も、
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=755
ストリーミング放送やら、変なコンサートやら、
日本の事情にうとい留学生に野宿の方へインタビューさせたりとか、
どうでもよいことばかりに手間ひまかけているように見えて、
実質的な宣伝や成果を期待できる内容は殆どありませんでした。


仮に開き直って、「反貧困」運動において政府を巧みに利用するというのならば、
それはそれでアリとも言えるでしょうが、現状では逆に利用されてますよね。
「反貧困」という運動が、むしろ巧みに「ガス抜き」のように使われています。
で、そのヘタれた運動体制を創り上げた張本人・中心人物が、
いま話題の湯浅誠センセーな訳です。



京都の集会の話に戻りましょう。
350人を動員したのならば、参加者も空き缶を持ち寄るとか、
野宿者の方々と一緒に空き缶を拾って集めて換金するとかして、
実質的な活動資金にするとか、その程度のこともやらなかったんでしょうか?
そういう形の運動の方がよほど宣伝効果はあるでしょうし。


私は今夏、貧困問題に取り組む某大学のフィールドワークに協力したのですが、
参加していた学生さんでさえ、自分達で空き缶を集めて学習会に持って来て、
廃品回収業者へ持って行って換金するという体験をしていましたよ。
それっきりになってしまうのが懸念点ではありますが。


空き缶回収禁止条例反対デモ実行委員会が、
市や議員に要望を出すのも一つの手段ですが、
主催者は自分達で「空き缶回収業」を取りまとめて、トラブルを減らす、
住民の理解を得る、そういう運動も継続してすべきかと思っています。



http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20101022000024
市ごみ持ち去り禁止条例改正、与党会派なお温度差
京都新聞 2010年10月22日 09時07分)
 京都市議会のくらし環境委員会は21日、空き缶など資源ごみの持ち去りを禁止する条例改正案に関連し、市が10月に実施したホームレスへの聞き取り調査について議論した。保健福祉局の幹部を招致し意見を交わしたが、賛否が分かれ、与党会派内で温度差は解消されていない。
 与党の自民党市議は「本来なら提案前に調査すべきで、対応が遅かった」と注文をつけながらも、「命と空き缶をてんびんにかけることは適切ではない。ホームレスゼロに向け福祉施策を進めていくことが大切だ」と条例改正案に賛成する姿勢を見せた。
 これに対し、野党の共産党市議は持ち去り禁止に反対の立場で論を張り、「条例改正案の影響を調査すべきだった」「ホームレスが空き缶回収で生活しなくてよくなってから、条例改正案を出すべきだ」と訴えた。
 一方、与党の民主・都みらいは条例改正案に賛成する方向で固まりつつあるが、市議は「ホームレスと住民の間に立ち、ホームレスが空き缶を回収できるようルール作りを構築してはどうか」とさらに踏み込んだ施策を求めた。
 修正を求める声がある公明党も会派として臨む態度をまだ決めておらず、市議は「条例改正案の影響は(施行後)すぐに出る。ホームレスへの支援対策を継続する意思を示すべきだ」と訴えた。
 市は「ホームレス状態を継続させるための支援ではなく、居宅への移行を進めるために努力したい」と理解を求めた。
 条例改正案は28日の最終本会議で採決が行われる。


http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20101021ddlk26010497000c.html
京都市:「“空き缶条例”許すな」 湯浅誠さんら、集会に350人参加 /京都
毎日新聞 2010年10月21日 地方版)
 委託を受けた業者以外にアルミ缶などの資源ごみ回収を禁じる京都市廃棄物処理条例改正案に反対する市民らが20日、京都市役所前広場に集まり条例改正阻止を訴えた。内閣府参与で、路上生活者の支援や貧困問題に取り組んできた湯浅誠さんをはじめ、約350人が参加した。
 路上生活者の支援をする市民団体などが開催した。参加者は、条例改正反対を掲げるパネルや横断幕を手に、全員で市役所本庁舎の周りを囲み「空き缶条例を通すな」とシュプレヒコールを上げた。
 市役所前広場で開かれた集会には、湯浅さんも参加。「アルミ缶回収は路上生活者が見つけたすき間の仕事。どう住民と共存できるかを考えるのが行政の役割だ」と話した。

◇「回収続けたい」13%
 京都市は20日、市内の路上生活者182人に実施したアンケート結果の概要を明らかにした。今後の生活について約40%の人が就職を希望する一方、アルミ缶回収などで現状の生活維持を希望する人も約13%いた。
 アンケートは14、15日、保健福祉局や環境政策局の職員らが聞き取り、約7割の124人が回答した。市の福祉政策を紹介するビラを配るとともに、今後の生活についての意向やニーズを聞いた。
 アルミ缶回収などを続けたい人が1割以上いたが、市は「自立に向けた訓練的な仕事の紹介や情報提供など、現在の制度を利用して、安定した生活をしてもらいたい」としている。【田辺佑介】