いんきんたむし【榊莫山先生の御冥福をお祈りします】

書家・榊莫山先生がお亡くなりになりました…。


榊莫山さんを初めて知ったのは、確かNHKの番組だったと記憶しています。
NHK趣味講座 書道に親しむ』だったでしょうか。


その風貌もさることながら、
現代書家の作風にありがちなマスターベーション的表現や
自己満足的な訳の分からなさを、
全く超越した彼の言葉の数々や作品群に圧倒されたものです。








最も記憶に残り、感銘を受けた(笑)のは、
莫山先生が良寛さんの「手紙」を絶賛したところでした。
 ※NHKでこれをしゃべるとは…(;´Д`)







 【手紙の内容】
  いんきんたむし再発致候間
  萬能功一貝御恵投下されたく候 以上
                   七月九日
                  守静老 良寛

 【現代語訳】
  「いんきんたむし」が再発いたしましたので
  萬能功(薬)を一貝お送り下さいたくお願いいたします 以上
                   七月九日
                  守静老さま  良寛より

莫山先生いわく
 「いんきんたむし」など手紙の冒頭から普通はいきなり書けない。
 手紙の「一貝」に貝の絵を描いているところも洒落っ気がある。
とのこと(笑)



更に莫山先生が力説していたのは、
書では丸(○)を書くのが最も難しい、でした。

非常に面白い人でした。


御冥福をお祈りします。








http://mainichi.jp/enta/art/news/20101006k0000m040033000c.html
訃報:榊莫山さん84歳=書家
毎日新聞 - 10月05日 19:33)
 詩書画一体の独自の作品と飄逸(ひょういつ)な随筆などで知られ、テレビ出演も多かった書家の榊莫山(さかき・ばくざん、本名・斉=はじむ)さんが3日午前4時13分、急性心不全のため奈良県天理市内の病院で死去した。84歳だった。葬儀は親族で済ませた。喪主は妻美代子(みよこ)さん。
 三重県出身。戦後、書を故辻本史邑(しゆう)に学び日本書芸院展で特選になるなど多くの受賞を果たした。しかし、50年代末に書壇から離れた。前衛的な書に挑みながら、「土」や「女」「花」「母」など漢字の持つ本源的なイメージを新しい造形感覚で表現し、「書壇の風雲児」として注目された。
 この書を土台に花木や小動物、大和の風景などを素材に、「花アルトキハ花ニ酔ヒ 風アルトキハ風ニ酔フ」など詩情に富んだフレーズを作った。詩と画と書を一体にした作品は多くのファンの心をとらえた。弟子はとらない主義だが、人柄と作品を慕う人々が「莫門」グループを作っている。
 文章もよくし、若いころから書の名作や道標など歴史の中で作られた「野の書」に注目。また、筆、墨、紙など書にまつわる「文房四宝」についての著作を次々と刊行。代表作に「書百話」(毎日新聞社)などがある。晩年は焼酎メーカーのCMにも登場しマルチタレントぶりを発揮した。


【写真特集】榊莫山さんの写真、作品など
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/sakakibakuzan/