利用された(?)漁船衝突事故【安全保障問題へと摩り替えか?】
>中国人船長 処分保留で釈放へ
このニュースを見て騒いでいる人たちはまず冷静になるべきだろう。
司法が外交に口を出した、のではなく、
三権分立の理念から言っても、
検察独自の判断は賢明と見ても良いのではないだろうか?
さて、先日もこのブログに書いたが、尖閣諸島問題の本質は、
漁業権の問題ではなく、そもそも領有権の問題である。
http://d.hatena.ne.jp/prolegomena/20100922/1285156053
従って、本来は単なる漁船の事故にも関わらず、
いきなり領土問題へと発展させるように今回は日中両国政府ともに強硬姿勢を打ち出し、
マスコミはその流れを煽り続け、
一般大衆の一部は狂奔するという事態となったことに、
私はかなりの疑問を感じていた。
尖閣諸島に関わるあらゆる事柄が、最終的には領有権問題に収束するにしても、である。
現在の民主党政権は、沖縄の普天間基地移設問題において
地元沖縄からも
>普天間 沖縄県知事も「県外」
と要求され、
アメリカからは圧力にさらされ、
国外移設・県外移設・徳之島移設案等々、政策の迷走を続けさせるばかりで、
どうにもこうにも出来ない膠着状態に陥っていた。
そこへ偶然というか、良いタイミング(?)で尖閣諸島付近にて
中国漁船と海保の船舶の衝突事故が勃発した訳である。
確かに日中両国政府の強硬姿勢が何に由来したのかは明確には出来ない。
しかしながら、アメリカのクリントン国務長官が
>米長官「尖閣は安保条約対象」
と、これまた偶然にも訪米中の前張害相(前原誠司外相)に述べたのである。
これは民主党にとって千載一遇のチャンスになったのではないだろうか?
単なる漁船の衝突事故を、
日米安保条約に基づく安全保障問題へと摩り替えることによって、
膠着状態であった普天間基地移設問題の打開点を
見い出そうと意図しているのではないか?
マスコミは日中政府の互いの強硬な外交姿勢を煽り続け、
幸いにも両国国民は素直にニュースにのっかって偏狭なナショナリズムに奔っている。
結果、日本にとっては中国の「脅威」があたかも「現実感」を持っているかのように映り、
米国が沖縄の米軍基地のプレゼンスを大きくアピールできる環境が見事に作られている。
前原が事前にそこまでしたたかに計算高かったマキャヴェリストだとは思わないが、
結果的には今回の事件を利用して上手く立ち回ったと言えるだろう。
民主党の政策や姿勢を、
中国への売国行為と騒ぐ阿呆がネット上には非常に多いが、
実は民主党は自民党の従米路線を正当に受け継いでいると考えるべきで、
むしろ戦後綿々と継続されて来た
「アメリカ合衆国ニッポン州」は今後も維持・固定化されると理解されるべきだ。
自民党・民主党こそが、日本をアメリカへ売り続けているのである(笑)
さて、漁船衝突問題が安全保障問題とされることで
果たして中国にはどのようなメリットが生まれるのだろうか。
尖閣諸島領有権を強硬に主張することで、
自国内の偏狭なナショナリズムを盛り上げることに成功し、
いつの時代の国家も、その歴史において証明して来たことだが、
これは結果的に「自国内の問題から国民の目を一時的にそらさせる」という
効果があったのではないか?
そしてアメリカが安全保障問題にも踏み込んだことによって、
中国側も、自国の軍事力増強を正当化する口実を得たのではないだろうか?
中国・香港・台湾・日本の民衆は、
国家権力の本質をもっと冷静に理解し、注視すべきだと思う。
http://mainichi.jp/select/world/news/20100924k0000e040069000c.html?link_id=RSH05
漁船衝突:中国人船長を釈放へ 「日中関係を考慮」
(毎日新聞 - 09月24日 15:03)
沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕・送検し、拘置していた中国人船長、※其雄容疑者(41)を、処分保留のまま釈放すると発表した。
※船長は、今月8日未明、中国籍の大型トロール漁船(166トン)を日本領海内の尖閣諸島で操業。久場島北西約15キロで立ち入り検査のため停船命令を出して追跡中だった石垣海上保安部の巡視船「みずき」(197トン)の右舷中央部に漁船を衝突させ、海上保安官の職務を妨害したとして公務執行妨害容疑で逮捕された。
領海問題を巡り、停船命令に従わなかった中国船籍の漁船が巡視船に衝突させる行為を公務執行妨害ととらえて逮捕する異例の展開となった。石垣簡裁は19日、29日までの拘置延長を認めていた。
那覇地検の鈴木亨次席検事は釈放の理由について「我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と述べる一方、船長の行為を「追跡を免れるためにとっさに取った行動で、計画性は認められない」などと述べた。今後釈放手続きに入るが、釈放の日時は未定という。※は「簷」の竹カンムリを取る
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&rel=j7&k=2010092300203
米長官「尖閣は安保条約の対象」=日中対話に期待−日米外相会談
(時事通信社 - 2010/09/24-01:39)
【ニューヨーク時事】前原誠司外相は23日午前(日本時間同日夜)、ニューヨーク市内でクリントン米国務長官と約50分間会談した。前原外相は尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件について、国内法に基づき刑事手続きを進める方針を説明。これに対し、クリントン長官は尖閣諸島について「日米安全保障条約は明らかに適用される」と述べ、米国の対日防衛義務を定めた同条約第5条の適用対象になるとの見解を表明した。
また、米側の説明によると、クリントン長官は衝突事件に関し「日中両国が対話によって、平和的に早期に問題を解決するよう望む」との期待を示した。
両氏は中国の海洋権益をめぐる対応を注視し、日米が緊密に連携していくことで一致。前原外相はこの後、記者団に「(日本の方針は)理解を得られた。国内法で粛々と対応するが、外交問題になっているので、大局的に判断したい」と述べた。
日米外相会談は、菅改造内閣の発足後初めて。クリントン長官が安保条約適用に言及したのは、日本の同盟国として事態をこれ以上エスカレートさせないよう中国側をけん制する狙いがあるとみられる。
一方、前原外相は会談で、米軍普天間飛行場移設問題について、沖縄県名護市辺野古を移設先とする5月の日米合意の実現に全力を挙げる考えを表明。クリントン長官はこれを歓迎した。
両氏は日米同盟を一層深化させる方針を確認。協調して北朝鮮に強い姿勢で臨むことでも一致した。また、クリントン長官は、核開発を続けるイランに対する追加制裁措置決定や、アフガニスタン復興支援に謝意を表明した。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100923k0000m010129000c.html
普天間移設:沖縄県知事も「県外」 政府に説明責任求める
(毎日新聞 - 09月23日 02:43)
沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設問題で、移設先について政府に対し「県外を求める」と言及する方針を固めた。早ければ28日の県議会代表質問で表明する見通し。知事は同県名護市辺野古への移設を決めた日米合意の見直しを求めてきたが、さらに踏み込むことで政府に対し説明責任を求める姿勢を強めることになる。
知事は移設問題がこう着状態に陥っていることに「政府が県民に納得いく解決策、説明をすべきだ」と主張してきた。【井本義親】