敢えて対立する日中政府・煽るマスコミ・狂奔する愚衆【尖閣諸島漁船衝突問題】

>温首相 船長の無条件釈放要求


ついでに衝突時のVTRの公開も求めているようだ。
今回の事態を平和裏に解決する一つの方策としてはありだろう。



さて尖閣諸島問題というとすぐに右翼の阿呆どもが騒ぎ出すが、
これは日中関わりなく同様の現象らしい。



ところで、尖閣諸島領有権問題が急激に浮上して来た第一の理由は、
毎日新聞の解説によれば、


>国連アジア極東経済委員会による1968年の調査で、尖閣諸島のある東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されていると報告された後です。


ということである。
私もこれには異論はない。


【御参考】
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20100919ddm003070150000c.html
質問なるほドリ:尖閣諸島の領有権って?=回答・大谷麻由美
<NEWS NAVIGATOR>
尖閣諸島の領有権って?
◇1895年、日本領に編入 資源発見後、中台も主張
なるほドリ 日本の領土の尖閣諸島を、どうして中国も自国の領土だと主張するの?
記者 沖縄県石垣市に属する尖閣諸島は、中国や台湾(中華民国)も領有権を主張しています。台湾は、台湾東部・宜蘭県に属するとしています。中国は「台湾は中国の領土の不可分の一部である」と主張しており、尖閣諸島は中国・台湾省に属するという立場で領有権を主張しています。

 Q 日本が実効支配しているんだよね。
 A 日本は1885年以降、尖閣諸島の現地調査を何度も行った結果、無人島であり、中国・清朝支配下にもないと確認。1895年1月14日、現地に標識を建てて日本の領土に編入することを閣議決定しました。その後は、日本の領土である南西諸島の一部となり、日本人が入植してカツオ節の製造なども行われましたが、1940年に無人島になりました。

 Q アメリカが支配していた時期もあるの?
 A 日本は敗戦から6年後の51年、旧連合国とサンフランシスコ講和条約を結びました。同条約によって、尖閣諸島は沖縄の一部として米国の施政下に置かれました。71年6月に沖縄返還協定が結ばれ、尖閣諸島も日本に返還されました。

 Q 中国や台湾が領有権を主張する根拠ってなに?
 A 中国も台湾も歴史的、地理的、地質的な根拠を挙げていますが、国際法的には有効な論拠となっていません。日清戦争後の1895年4月17日に調印した下関条約で、日本が中国・清朝から割譲を受けたのは台湾と澎湖諸島です。尖閣諸島は含まれていないのですが、中国と台湾は「尖閣諸島も含む」と主張しています。

 Q 中国や台湾はいつから領有権の主張を始めたの?
 A 国連アジア極東経済委員会による1968年の調査で、尖閣諸島のある東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されていると報告された後です。台湾は70年9月、尖閣諸島に「青天白日」旗を立て、71年4月に公式に領有権を主張しました。中国は、71年12月の外務省声明で初めて領有権の主張をしたとされます。中国、台湾のどちらも、サンフランシスコ講和条約尖閣諸島が米国の施政下に置かれたことに異議を唱えたことはありません。これは、尖閣諸島が南西諸島の一部だと認めていたことを示すと考えられています。(台北支局)



すなわち換言すれば、
今回問題となっている漁船の衝突事故という漁業権に関わる事柄は、
尖閣諸島領有権問題においては、もはや二義的な問題なのである。


これは2000年(平成12年)に発効された
「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定」を読んでも明白である。
はっきり言えば、尖閣諸島の領海には、今のところ日中間の漁業協定は存在しない。
http://www.liosgr.com/digitalroppo/jouyakutou/H12jouyaku02.html


従って今回の漁船衝突事件が(衝突の責任が漁船側・海保側のどちらにあるにせよ)、
尖閣諸島の領有権に関わる本質的問題のように語られること自体が
極めて異常な事態だと言わざるを得ない。


2年前に以下のような事件があった。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-133001-storytopic-1.html
台湾船が海保と衝突、沈没 乗員全員救助
(2008年6月10日 琉球新報
 10日午前3時20分ごろ、尖閣諸島魚釣島から南に約10キロ離れた日本領海内で、警備中の巡視船「こしき」(鹿児島海上保安部所属、約966トン)と台湾遊漁船の連合号(約20―50トン)が衝突した。連合号は浸水し、午前4時38分に沈没、こしきが乗員16人全員を救助した。船長一人が右ひざなどにかすり傷を負った。台湾出先機関台北駐日経済文化代表処那覇分処は、日本政府と台湾当局が乗員の身柄引き渡しをめぐる調整を進めていることを明らかにし、同日中に担当者が石垣市入りした。
 第11管区海上保安本部によると、こしきが航行する連合号を発見したのは午前2時5分ごろで、魚釣島南西33キロの海上を東向けに進んでいた。その後同2時35分ごろに連合号は領海内に侵入した。
 こしきが確認作業のため接近すると、連合号がジグザグ航行を始めた。こしきが連合号の船名を確認した際、連合号が急に右側に方向転換したため、こしきの左舷船首部と連合号の右舷船橋付近の外板が衝突したという。こしきは船体に塗装がはがれる程度の損傷を受けた。
 乗員は「釣り目的で同海域にいた」と話しているという。16人のうち3人が船員で、13人が釣り客とみられる。
 こしきは正午すぎ、石垣港に入港した。乗員は石垣市内の病院で受診後、あらためて事情聴取を受ける。
 事故現場となった海域付近には尖閣諸島があり、これまで同海域では同諸島の領有権を主張する台湾や中国の団体が抗議行動のため領海侵犯したり、違法操業の漁船が確認され、海上保安庁が常時警戒している。こしきは数日前から第10管区から派遣されていた。
 事故当時、現場海上は南風6メートル、1・5メートルのうねりがあり、晴天だった。この事故で巡視船3隻と飛行機とヘリコプター各1機が出動した。
    ↓
 この事件は、日本・台湾政府の交渉で、
 日本側が海保巡視船の過失を認め謝罪を表明し、
 同年12月、3000万円相当の賠償を支払うことで和解が成立、解決している。


今回の事件によって、悪化する一方の日中関係はえらい違いである。


こうした事例を鑑みると、
日中両国政府が、今回に限っては何故か自ら積極的に対立の図式を描き出し、
マスコミはそれを煽り、無知蒙昧な自称「愛国者(=愚衆)」どもが狂奔するという
いつもの外交上の騒ぎ以上の、
危険な匂いのする騒ぎという状態を呈しているのが現状と言えるだろう。


敢えて対立へと傾斜する日中政府、
それを煽り続けるマスコミ、
素直にそれにのっかって狂奔する日中両国の愚衆たち…、非常に胡散臭い動きである。


日中間に好戦的な対立が生まれることによって、利益を得る勢力でもいるのだろうか。


中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及 - 毎日jp(毎日新聞) 中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及 - 毎日jp(毎日新聞)

http://mainichi.jp/select/world/news/20100922k0000e030033000c.html
中国漁船衝突:温首相「即時釈放を」 対抗措置にも言及
毎日新聞 - 09月22日 11:53)
 【北京・浦松丈二】沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で中国漁船と日本の巡視船が衝突した事件で、中国の温家宝首相は21日夜、国連総会出席のため訪れたニューヨークで在留中国人らと懇談し、逮捕された中国人船長の即時かつ無条件釈放を日本側に要求、応じないなら、新たな対抗措置を取ると警告した。中国首脳レベルが事件に言及するのは初めて。首相自ら抗議したことで対日批判が強まる恐れがある。
 新華社通信によると、温首相は「釣魚島は中国の神聖な領土だ」と主張し、船長逮捕について「完全に違法、理不尽であり、船長とその家族を深く傷つけ、国内外の中国人すべての怒りを巻き起こしている」と日本側を批判した。
 温首相はさらに「日本側に直ちに無条件で船長を釈放するよう強く促す。日本側が独断専行するなら、中国側は新たな行動を取る。その深刻な結果について、日本側はすべての責任を負わなければならない」と新たな対抗措置を予告した。
 一方、日中関係については「日本政府は誤ったやり方を直ちに改め、正常な関係発展の軌道に戻すべきだ。これは両国国民の根本利益だけでなく、平和と協力という世界の潮流にもかなう」と訴えた。
 ニューヨークでの国連総会には菅直人首相も出席するが、中国側は「現在の雰囲気は会談を行うにはふさわしくない」(姜瑜・外務省副報道局長)と首脳会談見送りを発表している。温首相はオバマ米大統領とは23日に会談を予定している。